
2012年5月4日(金曜日)
ゴールデンウィークの特別企画★
紙切り作家 水口千令(ちはる)さんにご来館 …
伊豆のすばらしき人たち Close-up People -vol.2-
炎の舞から生みだす「越前焼の陶芸家」
日本六大古窯のひとつとして伝統ある窯の炎から生まれる「越前焼」の媚びたり、てらったりしない寡黙ともいえるその美しさに惹かれ、陶芸家の道を選び、厳しい修行を経て17年前、子宝の湯で知られる吉奈温泉の奥の山裾にアトリエと居を構え自然を五感で据えながら人に媚びることもなく、自然と一体の自分流を貫き作家活動をしている陶芸家が高木通宏さん。裏山は猪や鹿の遊び場。自家栽培の野菜も猪や鹿の餌食となることもしばしばですが、この大自然の中で暮らせる歓びは、なにものにも変えがたいと語る高木夫妻。「森の工房」に感謝し、天城を称える愛の賛歌なのでしょう。

東京中野の生まれの高木通宏さん。大学は明治学院でしたが、当時は激しい学生運動に明け暮れていて勉学とは程遠い毎日でした。部活で演劇部に所属、酒と芝居三昧に耽りながら新宿の居酒屋で板前、スナックなど色々なアルバイトをしながら将来進むべき道を模索。
ある日アパートのあった小田急線の梅ヶ丘駅の構内で、ある陶芸教室の案内看板に目が留まり陶芸体験。これが陶芸家になるキッカケでした。
陶芸家になるなら旅にでよう!と、西日本の一人旅に出発。
瀬戸で登り窯の巨匠加藤元男先生を訪ね「ロクロをやる手じゃない帰れ!越前に行ってみろ」と怒鳴られながらも生涯忘れられない助言が越前焼の陶芸家になる動機となりました。
越前で、福井市の渡辺亮氏に師事して茶道を学び、終始自分の手で繋いだ穴窯で、茶陶の製作、特に茶懐石の食器作りに没頭したそうです。
穴窯は登り窯と比べると効率が悪い。前からの火が後ろに抜け、前面に火が当たると温度差が極端に違う。炎のわがままと沢山の灰が自然「釉薬」となって独特の風合いのある作品が生まれる。
作家津村節子さんは越前のやきものに特に深い関心を持って小説「炎の舞い」を執筆後、越前焼に強い愛着を抱くようになったそうです。
越前は豪雪の地。温暖の地で腰を据えての高木さんの夢は、伊豆で実現しました。
穴窯に適した立地とは、煙が遠慮なく出せる。裏山を削って穴窯が作れる・・・ドンピシャの場所がここでした。町の人たちとの強い絆も17年間の歳月で培われ「森の工房」の夢が、ますます広がる楽しみな毎日です。

■天城宏山窯のアクセス
伊豆市吉奈519-11
TEL&FAX:0558-85-1152
HP:http://www10.ocn.ne.jp/~izu-88/
E-mail:hiro-88@sage.ocn.ne.jp